企業漫画が読まれないワケと、企業が活用すべき漫画の新たなスタイルを提示

エイチ・ヒノモトの企業漫画とラノベのブログ

報酬も無いのに、ネットで漫画を1000ページ以上描いた男が、企業漫画のコンサルティングをしながら、ブログでライトノベルを連載してみた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)089話

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夏の海

太陽がギラギラと輝き、波の音が囁き潮風が香る。

 

可愛らしい水着や、魅惑的なビキニを着た少女たちが、波間に戯れた。

 

「お前んトコの地味な女子高生たちも、水着を着せるとまあ絵になるな」

ビーチパラソルの下で、チェアに寝転がった夜吸さんが言った。

 

「いやあ、みんな可愛かったり、美人だと思いますケド?」

ボクは、思った事を言った。

 

「まあ、百歩譲ってそうかも知れんが、なぜチンチクリンのアイツなんだ?」

 

「それは、その……芽美も可愛いですよ?」

「ねーわ。あん中じゃ、萩原ちゃんか、市川ちゃん、山口ちゃんだろ?」

 

「何を言ってるのかしら、アナタみたいな男が居るから、心配でわたしまで付いてくるハメになったんじゃない!?」

夜吸さんの隣で仁王立ちしているのは、芽美たちの担任である末依 乃梨だった。

 

「ス、スゲー!」「い、一体なにカップあるんだ!?」

けれども浜辺で最も注目を集めているのは、彼女に他ならない。

 

黒いビキニに納まりきらないバストとヒップは、周りの男どもの羨望の眼差しと、女たちの嫉妬の眼差しを同時に集める。

 

「そいやあ言ってなかったが、オレたち、寄りを戻したんだ」

夜吸さんが、末依先生を見ながら言った。

 

「そ、そうですか。昔、付き合ってたとは聞いてましたが……!?」

最近、他に用事があるとか言ってたのは、先生と寄りを戻すためだったのかと、考える。

 

「昔はアナタみたいな生き方って、認められなかったケド、今はそういう生き方ってのもありかなって……」

末依先生は、少し頬を赤らめながら言った。

 

「いや……たぶん、オレ自身も変わったんだわ。昔のままじゃ、お前はオレとは付き合わなかったと思うぜ」

夜吸さんは、ボクを見た。

 

「ま、お前のお陰ってのも、あるかもな」「え、オレの?」

「けっきょくフリーランスってのは、人と同じコトをしてちゃダメなんだ。価格競争になって、潰し合って、金銭的にも精神的にも疲弊して終わる」

 

「確かにそうね。漫画を大手企業に資金を出させて連載させるなんて、ほぼ思いつかないアイデアでしょうね。あのコたちが、あんなに生き生きしてるのも、もしかしたら……」

 

「それは……逆ですよ」

ボクは言った。

 

「引き籠ってニートやってたオレが、こんなに生き生きしてられるのって、彼女たちみんなのお陰なんです」

 

すると、みんなが呼んだ。

 

「お兄さん、こっち来てビーチバレーやろーよ」

「スイカ割りもするっス!」「ああ……待ってろ!」

 

ボクは、みんなの元へと駆け出した。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)088話

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入院

次の日、ボクは熱を出して倒れ、病院に担ぎ込まれる。

 

救急車は、芽美が呼んでくれた。

 

「まったく、ただの風邪と過労なのに、倒れ方が大袈裟なんスよ!」

「面目ない……」

 

芽美が不器用に剥いてくれたリンゴをかじっていると、夏休み中の女子高生たちが大勢押し掛けて来た。

 

「お兄さん、大丈夫だった?」「心配しましたよ!」

萩原さんと、市川さんが心配してくれる。

 

「ま、いい休息だと思って、しっかり休むコトね」

「でも原田、みつかってよかったね」

山口さんと大野さんが言った。

 

「そうだな、心配かけてゴメン。芽美、お前もみんなに謝らないとな」

「ゴ、ゴメンっす」芽美は、顔を赤らめながら謝罪する。

 

「なんか原田先パイ、社長と付き合ってるみたい」

「それ、自分も思ってました」「ひょ、ひょっとして……!?」

田中さん、今井さん、池田さんの三人の後輩たちが、好奇心に満ちた瞳を向ける。

 

「ああ……オレたち、付き合うコトにしたんだ」

「じ……じじ、実はそうなんス……」

それは、雨の夜に決めたコトだった。

 

「ええええッ!?」「そ、そっかあ……」

「まあ……自然な流れな気もするわ」

市川さんも、萩原さんも、山口さんも、わずかに表情を曇らせる。

 

「それと、芽美の描いていたサッカー漫画は、来月で終わらせるコトに決めた」

「え、いいの……原田?」市川さんが、心配そうな顔で原田を見た。

 

「良くはないっスけどね。このまま続けても、かえってあのコたちが不幸になる気がするんスよ。また、描きたくなったら描くっス」

芽美は、自らの生み出した登場人物との、決別をする。

 

「そっか……でも、また次の漫画を描くんでしょ?」

「そりゃ決まってるっスよ。次は、市川にも、萩原にも、佐藤先生にも、負けない漫画を描くっスよ!」

 

「芽美……次の漫画は、オレにも手伝わせてくれ」

「よろしく頼むっスよ、鷹詞」

芽美は、ボクの名前を始めて読んだ。

 

「でも、もう退院なんでしょ、お兄さん」

「風邪は治ったし、疲れも取れたから、居させてはもらえないだろうね」

 

「じゃあ、海。明日、みんなで海行こうよ!」

「もう、いきなり何言ってるのよ、このコは……」

山口さんにたしなめられる、大野さん。

 

「アタシは、いい考えだと思うっスよ?」

「散々心配させといて、上から目線なんだよ。この彼氏持ちがぁ!」

芽美は、萩原さんに羽交い絞めにされている。

 

「海か……それ、いいかもな」

 

翌日、大勢の女子高生たちを引き連れて、ボクは近郊の海の浜辺にいた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)087話

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続けられなかった漫画

「芽美……お前、こんなところで、何やってんだ……」

 

夜の雨はまだ降っていたが、ボクの心は安堵感に満ちていた。

 

「お兄さんを、待ってたんスよ……」

芽美は、言った。

 

「そっか……ゴメンな。話をちゃんと聞いてやれなくて」

ボクはビショ濡れの服で、芽美を抱いていたのに気づく。

 

「悪い、濡れちゃったかな? 寒かったろ、アパートに入ろうか」

ボクはドアを開ける。

 

「アタシの漫画……もう、散々な言われようなんスよ……」

 

漫画に対して、ひときわ高いプライドを持っている芽美。

 

「そうだな……気付かなかったよ。でも、芽美の漫画は、そこまで酷い出来じゃない……」

「それ、傷付くっスね。やっぱ、佐藤先生の漫画には、相当劣るってコトっすよね」

 

「そんな、つもりじゃ……」「じゃあ、どんなつもりで言ったっスか!?」

芽美は、ボロボロと涙を零し、鼻水も出ていた。

 

「アタシは、サッカーにあんまし詳しくないし、雑誌の感じも解らなかったから、軽い感じで始めたんスよ……」「うん……」

 

 

「それなのに……お兄さん……佐藤先生にだけ、いっぱいアドバイスして、ズルいっスよ!!」

「だってアイツは、それまで何をやってもすぐに投げ出すヤツで、お前みたいにしっかりもしてなかったから……」

 

「でも、ネットのヤツらが言うように、佐藤先生の漫画はストーリーもしっかりしてて、キャラも立ってて、なによりサッカーをちゃんと描いてるっス。それってみんな、お兄さんがアドバイスしたコトッスよね!!」

 

芽美の言う通りではあったが、つい正論が口を突く。

「……雑誌に載せる漫画を良くするのなんて、当たり前のコトじゃないか?」

 

「だったらアタシにも、アドバイスして欲しいっスよ!? 市川のスノボサムライは言うに及ばず、萩原のヴァンパイア探偵にも完敗っス。アレも、お兄さんの原作じゃ無いっスか!!」

 

「ヴァンパイア探偵は、ずっと温めていた作品だ。萩原さんのリアル寄りな絵のスタイルに、合ってると思ったんだ……」

「アタシの絵じゃ……作風じゃダメってコトっスよね!?」

 

芽美は、雨の中を駆けだした。

「待て……芽美!?」

 

直ぐにボクも、雨の中へと舞い戻る。

車のライトが行き交う道路を、走り去る芽美。

 

「もう、二度と見失わない!」

ボクは、必死に彼女を追った。

 

夜の公園の辺りで、芽美を捕まえる。

傘もささずに、ズブ濡れの二人。

 

「アタシ……アタシの描いたあのコたちを、幸せにしてあげられない……」

それは、彼女の描くサッカー漫画の、キャラクターたちのコトだった。

 

「もう……終わらせよう……」

ボクは芽美を、うしろからギュッと抱きしめる。

 

「アタシ、もっと……あのコたちと一緒に居たかった……もっとあのコたちの未来を、描きたかったっスよおおぉぉーーー!!!」

 

小さな漫画家の叫びは、夜の雨にかき消された。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)086話

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夜の雨

「芽美は……ボクが、プレッシャーに押しつぶされて、ネット漫画雑誌から逃げ出したときも、こんなボクをビジネスホテルまで迎えに来てくれた……」

 

ボクは電車に乗って、ビジネスホテルに向かった。

受付やロビーも探し、自分が泊った部屋を見せてもらったが、部屋は綺麗に片付いていた。

 

「やっぱ、居ないか……アイツ、みんなと居るときはうるさいケド、普段は割と内気らしいからな」

 

ボクは、再び電車で引き返す移動中、原田兄にも連絡していみた。

 

「おい、ウチのバカ妹は居たか!?」

「ダメだ……今、芽美と行ったホテルにも行ってみたが、居なかった」

 

「ホ、ホテルゥゥゥッ!? ……おま、アイツと!?」「また連絡する!」

「オイ、ちょっと……」ボクはスマホを切った。

 

それからボクは、かつて芽美と行った場所をくまなく巡る。

「ファミレス、名古屋発祥の喫茶店……ダメだ、どこにも居ない」

 

足が棒のようになり、ヘトヘトになるまで歩き回った。

空には黄色い月が浮かび、黒い雲がそれを隠そうとしていた。

 

「雨まで降ってきやがった……」

ボクは行ったコトの無いコンビニに入って、山口さんや萩原さんに連絡すると、グンナーさんは帰ったとのコトだった。

 

「すまない、グンナーさん、みんな。この埋め合わせはするから」

ボクはスマホに片手で謝ると、再び夜の雨の街を走り出す。

 

けれども、広大な大都市から少女一人を見つけ出すなど、到底不可能なコトだった。

 

「まったく……どこに行ってしまったんだ……芽美」

ボクは仕方なく、家路に付く。

 

「最初に、ボクのネット漫画雑誌に漫画を寄せてくれたのは、芽美だった……」

シャツも、ズボンも、びしょ濡れになっていた。

 

「漫画の知識をくれたのも、仲間を集めて来てくれたのも……」

ボクは、忙しさにかまけて、大変なモノを失ってしまった。

 

そう思って、アパートの前まで来る。

ボクの部屋のドアの前に、誰か座っているのに気づいた。

 

「芽……美?」ボクは、慌てて走り出す。

薄暗い蛍光灯に照らされ、座っていたのは、芽美だった。

 

「お、お兄さん?」体育座りから、顔を上げる芽美。

 

「芽美!」

ボクは彼女の元に駆け寄って、抱きしめる。

 

夜の雨は尚も降り続いていた。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)085話

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いつものコンビニの、いつもの入店音が鳴り、自動ドアが開く。

芽美の行方

「芽美……こんなところには、居ないか?」

いつも偶然か必然か、誰かと出会うフードコートに向かう。

 

「おう、どうした? 写真の使用はOK貰えたか?」

居たのは、夜吸さんだった。

 

「あの、芽美……原田って漫画家のコ、見ませんでした?」

「お前んトコの、女子高校生マンガ家群の一人だろ。どんなヤツだっけ?」

 

この時点で、夜吸さんと関わりのあるのは、企業漫画を描いた萩原さんと、スノボ漫画を描いている市川さんだけだった。

 

「えっと、このコなんですが?」

ボクはスマホの画面を見せる。

 

「あー、なんか居たか、小さいのが。で、そいつがどうしたって?」

「そ、それが……」ボクは、夜吸さんにワケを話した。

 

「まあ商業誌でも、二人の漫画家が同じジャンル……増してや同じスポーツを題材にしてると、神経質になったりするからな」

「はい……ウカツでした。オレがもっと、芽美のコトを気にかけてれば……」

 

「そうは言っても、お前もここんトコ、企業との打ち合わせうやらで手一杯だったろ? 神様じゃねえんだ。上手く行かない場合もあるさ」

 

「でも、オレのミスです」「お前、スマホにはかけたの?」

「はい……不通でした」「電源切ってるのか、圏外か……」

 

「オレ、心当たりを探してきます」「心当たりなんて、あんのかよ?」

「そ、それは……でも、闇雲にでも、探さないと……」

ボクはそのまま、コンビニを出た。

 

「ヤレヤレ、次から次へと問題を背負いこむヤツだな」

夜吸さんが、何か呟いているようだったが、気にする余裕はない。

 

「ど、どこに居る、芽美……そうだ、学校か!?」

まずは、芽美たちの高校を訪ねる。

 

「原田さんが、来てないかですって? 今は夏休みよ。登校日でもない限り、来るワケが無いでしょう」

芽美や萩原さんの担任の、末依 乃梨が言った。

 

「わたしは、たまたま部活の顧問だったから居るケド、原田さんになにかあったの?」

「そ、それが、家にも帰ってなくて……」

事情を話すと、美人教師の表情が曇った。

 

「高校生って年代は、大人と子供の間の不安定な時期なのよ。大人だったら些細なコトに思えても、彼女たちにとっては大事なコトかも知れない。こっちでも、家や友人関係に連絡を取ってみるわ」

 

「す、すみません。お願いします!」

ボクは頭を下げた後、学校を出る。

 

それからは、闇雲に探すしかなかった。

 

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)084話

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原田(兄)

「オレは……大事なものを、おろそかにしてたのか?」

 

高校生ともなれば、色々な場所から高校へと通って来る。

原田 芽美の家は、萩原さんのマンションからはかなり遠かった。

 

ボクは一度、地下鉄に乗り込む。

 

「こんなに……焦る必要なんて、無かったのか? 芽美も、家に行けば普通に、いつもの笑顔で出て来てくれるかも知れないのに……」

 

ボクは、萩原さんのマンションに置き去りにしてしまった、グンナーさんのコトが心配になりスマホを開く。

 

SNSが何件か来ており、山口さんがなんとかしてくれてるとのコトだった。

「グンナーさん、よほど悔しかったのか、Gペンの練習始めちゃたみたいだ」

 

ボクが投げ出したスボーボードのハメ込み作業も、パソコンが得意な萩原さんと今井さんの師弟コンビが、継いでくれていた。

 

「みんなには、オレの尻拭いをさせちゃってる……でも、なんだか心配なんだ」

原田 芽美は、漫画に対するプライドが、他の誰よりも高かった。

 

「芽美だったら、このSNSでの酷評を、どう感じているだろう?」

それは、想像に難くなかった。

「納得できないハズだ。悔しくて、たまらないハズだ」

 

ボクは、地下鉄車両のドアが開くと、急いで改札へと駆け上がる。

 

「ハア……ハア。久しぶりだな……原田の家」

息を切らしながら走って、原田の家の前にたどり着いた。

 

「ん……なんだお前、息なんか切らして。オレに何か用か?」

出てきたのは、ボクのFラン大時代の悪友の一人である、原田(兄)だった。

 

「芽美はいるか、原田?」「め、芽美!?」原田兄は、急に蒼ざめる。

「お……おま、ウチの妹と、どんな関係だ!?」

 

「なにワケの解らないコト言ってんだ? 居るのか居ないのか、どっち!?」

「ニ~三日前に、萩原って友達のマンション行くって出てって以来、帰ってないぞ。親に連絡は入れてるみたいだケド」

 

「そんな……萩原さんのマンションには、来てないんだ」

「な、なんだって? それマジか?」

 

「ああ……今、その萩原さんのマンションから、急いで来たところなんだ」

「でも、どうして……なんであのバカ妹、家出なんか?」

 

ボクはスマホを開いて、原田にSNS掲示板を見せた。

「これ……どーいうコトだよ? 最近アイツ、メチャクチャ元気が無くて、落ち込んでたんだ。これが、原因だったのかよ?」

 

「スマン、原田……」「スマンじゃねェよッ!!」

普段、ボーっとした感じの原田が怒るのを、ボクは初めて見た。

 

「お前のネット漫画雑誌に漫画が載るようになって、アイツかなり浮かれてたんだ。それが、佐藤がライバルだって? アイツの漫画、そんなに面白いのかよ?」

 

「ウチの雑誌で、一二を争う人気なんだ。実際、サッカーについてちゃんと知ってるし、同じ雑誌だからどうしても比較されてしまう……」

 

「こんなの、アイツがみたら……!?」

原田も、妹の性格は痛いほどよく理解していた。

 

「芽美の行きそうなトコって、無いか?」「知るか、そんなの!!」

「オレ、もう一度、芽美の行きそうなトコ、当たってみるよ!」

 

ボクは、いつも誰かと出会う、近場のコンビニへと走る。

 

「なんだよ、芽美って……オレは、お前の兄キになんか、なんねーからな」

うしろで原田が、何か呟いた気がした。

漫画好きなニートが、自らネット漫画雑誌を立ち上げてみた。(仮想)083話

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二つのサッカー漫画

グンナーさんは、緻密なデザインもこなす、プロのデザイナーである。

グンナーさん的には、もっと上手く簡単に描けると思ったのだろう。

 

「な、なんかグンナーさん、めっちゃ落ち込んでない!?」

大野さんが言った。

 

「シッ、このコは思ったコト、直ぐ口にしちゃうんだから!」

山口さんに口を塞がれる、大野さん。

 

「ど、どうしてデ~スか……? こんなグニャグニャの線しか、描けないなんて」

Gペンは慣れが必要ですからね。それに、日本のマンガの絵って独特ですから」

 

日本独特のアニメ絵や漫画の絵は、解剖学的な人物の描き方を学んだ人にとっては、かなり独特で描きずらいと思われる。

 

「こんなに目が大きいのも、おかしいデ~ス。でも、これでキャラとしてバランス取ってるのが、信じられナ~イ!」

グンナーさんは、少し混乱もしていた。

 

「えっと、とりあえず画像を加工してみました。見てもらえますか?」

「わ、わかりまシ~タ」肩を落としたグンナーさんが、ボクの背中に来た。

 

「な、なる程。雑誌の止めた写真のようにするとは、こういうことデ~スか」

「漫画って、『絵の説得力』が重要なんですよ。ゴチャゴチャと色々描くより、一枚絵の迫力で押し切れる場合もあるんです」

 

「場合によっては、そちらの方がページを節約できる場合すらあるんですよ」

市川さんが、ボクの意見を補足する。

「そ、そうなの?」「はい、そうです。原田も言ってましたよ」

 

「そっか、芽美が言ってたのか……」 

ボクの漫画の知識は、ほぼ芽美から教わったモノだった。

 

「ねえ、お兄さん。ちょっと……」

ボクは、山口さんに手招きされる。

 

「最近、ネットでの芽美の漫画の評価、見てますか?」

「え? 最近忙しくて見れてないんだ、ゴメン!」

「コレなんですケド……」山口さんは、スマホを見せる。

 

「こ、これって!?」そこには、酷い評価が並んでいた。

「ど、どういうコトだ? 芽美の漫画って、ここまで酷い評価が上がる出来じゃ……」

 

けれども、理由は直ぐに理解できた。

 

「さ、佐藤のサッカー漫画と……比較されてる!?」「そうなんです……」

山口さんは、小さく頷く。

 

「実際、佐藤先生の漫画って、女性にはキャラ人気がスゴイですし、サッカーにうるさい男性にも大人気なんですよ」

「話が軽い……、サッカーを知らない、キャラが雑で無機質……」

 

確かにギャグ要素もいれた芽美の漫画は、サッカー漫画として比較されてしまうと、とても部が悪かった。

 

「佐藤の漫画は、実際のサッカー選手をかなりアレンジして出してる。それだけでも個性になるし、お互いに絡めば話なんて幾らでも作れる」

 

ボクは、芽美から連絡があったのに、返信もせずにいたコトを思い出した。

「芽美……」

 

ボクの足は、萩原さんのマンションの玄関へと向かう。

「ス、スミマセン、グンナーさん。オレ、用事を思い出したんで、帰ります!」

 

返事も聞かないまま、原田の家へと走っていた。